健常者になれなかった者たち

4人のガイジたちが送るドタバタガイジストーリー

CHRISTMAS BREAK 中編

Previously on CHRISTMAS BREAK....

前回のクリスマスブレイクは....

 

 

「全力で負ける」ことをコンセプトに、匂わせする為だけに1000km以上離れたディズニーのホテルに宿泊することになった🦀。

念には念を入れ、周囲に彼女ができたことを喧伝しつつ、本当に彼女と行く事をみせかけられたことに成功したようだ。

そして、いよいよ実行の日を迎えることとなる。

前回後編と書きましたが、尺の都合上三部構成となりました。申し訳ありませんが最後まで付き合っていただけたら幸いです。

 

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2020年12月22日 20:58 某県某市 バスセンター

 

クリスマスイブに「東京ディズニーセレブレーションホテル」を予約したが、家を出たのはその2日前であった。

千葉まで1000km以上。宿泊だけで25000円も使ってしまった為、行き来は極力抑えるよう予定を組んだ。

これから3000円の激安夜行バスに乗り、大阪へ。そこから在来線の普通列車でひとまず静岡を目指す。

コロナの感染者が(首都圏に比べて)比較的少ない静岡で一泊し、その後ディズニー入りをすると言うわけだ。

というわけで、夜行バスに8時間、そこから在来線に8時間揺られて静岡に到着。

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折角静岡まで来たのだからと、何か観光しようと思ったが、何一つ観光スポットが思いつかなかったので、静岡駅近辺をウロウロしていたらいつのまにか夜になっていた。

ちなみにあの有名な富士山は、全く雪を被っておらず、よく見る青と白の山ではなく、薄茶色のただの山だった。

 

そんなわけで、翌朝。

 

いきなり「ディズニー行ってきた!」と言うと不自然に思われるかもしれないため、ここで1つ目の投稿を投下。

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この投稿で、何となくディズニーに着いたことを匂わせる。

なお、このツイートをしたのは静岡駅前であり、とんだ嘘投稿だった。

 

そして、一路ディズニー最寄りの舞浜を目指して出発。

...の前に、まずインスタをアンインストールしておく。

匂わせは全てTwitterで行うと決めており、インスタでは一切行わないと決めていた。

というのも、インスタはガチのリア充投稿に溢れているからである。

私自身、リア充投稿を見ると冗談ではなくガチでムカつくタイプだ。

舞浜周辺で精神が崩壊することは目に見えているが、恐らくその状態でガチの投稿を見てしまうと、発狂して舞浜駅前で焼身自殺か何かをしてしまう恐れがある。

その予防として、"ガチ"の投稿はシャットアウトすることにした。

 

さてさて、在来線で舞浜を目指した🦀だったが、途中で電車を降りてただの山と化した富士山の写真を撮ったり、飯を食ったりしていたため、結局舞浜には15時に着いた。

 

2020年12月24日 15:06 千葉県浦安市 舞浜駅

...とうとう、因縁の地へ降り立った🦀。

 

降り立って直ぐ、まず秘密兵器を取り出す。

そう、ディズニーデート特有のカチューシャだ。

 

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決行の1週間ほど前、メルカリでこの日のために購入したカチューシャを取り出す。

2つセットだった為、ちょうどよかった。

そして三脚。

今回、匂わせ写真を撮るためだけに持参した幅1mぐらいの三脚も、ついでに取り出した。

 

それにしても.....

 

 

舞浜駅前、予想以上にしんど過ぎる。

 

改札を出て直ぐから、家族連れとカップルの幸せオーラに満ちており、目立たないような服装でイヤホンをし、スーツケースを引きずりながら歩いている自分が非常に目立つ格好となっていた。

....本気で頭痛がしてきた。それに、動悸と息切れが止まらない。

 

とりあえず、ランドの入り口を目指してノロノロと歩く。

その間、幸せオーラ全開の、大勢のカップルや家族連れとすれ違う。そして、時々こちらに投げかけられる、奇異の目。そりゃ当然である。

 

皆が1日ディズニーを楽しんで帰ろうとしている時間帯に、スーツケースと三脚を引きずった1人の男が、入り口に向かっているのである。

 

何と異常な光景だろうか。

 

そんな珍動物を見るような目を向けられつつ、なんとかランドの前まで行こうとしたのだが、ここである問題が発生した。

それが、荷物検査である。

 

皆、当然のようにパスしていくところだが、スーツケースを引きずり、三脚を抱え、イヤホンを付けて人と目を合わせようとしない奴が通るわけが無い。

そう判断し、検査場に入る前で匂わせ写真を撮ることにした。

 

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こちらをご覧いただきたい。

これが、今回私が撮影した匂わせ写真だ。

これをどうやって撮ったのか。

答えは簡単。三脚を立ててスマホを固定し、撮影するだけ。

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そして、起動したカメラの画角に合わせてカチューシャを持ってくれば完成である。

...と、ここまで書けばすごく簡単なように見えるが、実は、至難の業だった。

というのも、ここは通路で、幸せオーラ全開の方々がお通りになる。

当然、負のオーラ全開で、三脚を立ててゴソゴソやってる奴が目立たないわけが無い。

生まれて初めて、「ママ〜あれ何〜?」「シー、見ちゃいけません」という反応をされた。

本当は色々な場所で何枚か撮りたかったが、そんな周りの目に耐えられず早々に退場した。

そして、投稿されたのがこちら。

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我ながら、完璧な投稿だと思う。

ちなみに1枚目の写真だが、何年か前に流行った #彼女とデートなうに使っていいよ のタグを元に、ネットの海から拾ってきたものである。

いやーネットってのは怖いねぇ。

 

また、投稿する文章も出来るだけナチュラルになるよう、細心の注意を払った。

 

こうして、匂わせというか、もうガッツリデートの報告ツイートが完成した。

ありがたいことに、周りもこれを信じ始めたようで(先日のご報告の記事を読んでいたのもあるが)、おめでとー!だのたのしそー!だのメッセージが沢山寄せられた。まあ、実際はめでたくもたのしくもないが。

 

こうしてランドでの写真を一通り撮り終え、ホテルへ向かった。

 

ホテルへ向かう電車の中。

顔が死んでいた。

これほど電車から降りたくないと思ったことはなかった。

周りには、1日ディズニーを満喫し帰路に着く者、これからディズニーリゾートを楽しまんとする者、果てや、これから夜のディズニーに向かう者など、陽と幸せな空気が漂っていた。

 

一駅3分しかない乗車時間。体感30秒程度で東京ディズニーセレブレーションホテルの最寄り駅、新浦安駅に着く。

幸せオーラ全開の方々と同じバスに乗るのは気が引けたので、真っ直ぐタクシー乗り場に向かう。

バスの10倍近い値段がかかったが、これ以上あのオーラの中に居ると自爆してしまいそうだった。

タクシー運転手に無駄な詮索をされぬ様、イヤホンを付けて到着を待つ。

 

10分ほど車に揺られ、ホテルに到着。

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さすがはディズニーリゾート。タクシーで着いた私をホテルの従業員の方が笑顔で迎えてくださり、スーツケースを運んでくれた。

コロナ禍ということもあり、まず体調面に問題がないかの問診がある。すると、また従業員の方が話しかけてきた。

 

「お荷物をチェックインが終わるまでお預かりしたいのですが、お連れさまはいつ来られますか?」

「いや、僕1人で泊まります.....」

「あっ....(察し)」

 

キーンと耳鳴りがする。周りではしゃぐ子供の声が一瞬遠くなった。

 

「...ちら引き換え券となっておりますので、チェックインが終わりましたらあちらでお渡しください。」

何かを察した従業員の方は、優しい笑顔でそう案内した。

 

問診を記入して、カードキーを受け取り、さっきの従業員の方から荷物を受け取ってエレベーターで部屋へ向かう。

 

「ハハッw上へ行くよ!w」

 

そんなミッキーのエレベーターの案内が、煽りにしか聞こえなかった。

 

 

ガチャガチャとスーツケースを鳴らしながら、1人、部屋に入る。

 

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どう見てもイブに1人で泊まる部屋では無い。

 

ホテルに宿泊しながら、こんなにも落ち着かない部屋は初めてだった。

とりあえず報告を行う。

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どうやら私は、これまでに泊まった中で1番のオシャレホテルに、イブに1人で泊まるらしい。

それより、こんな部屋に1秒でも居たくない....

そう考えた私は、入室して30分と経たず、「飯を食いに行く」という名目でホテルを出た。

 

それから、適当に店を見つけて入り、1人で食事をする。

食事を終えた時点で20:31。

何故だか、全くホテルに戻りたくなかった。

普通ホテルは1日の疲れを癒す為、ゆっくり休むところだ。

一日中行動して疲れたなら、ホテルでゆっくり休むのが筋だろう。

だが、今回は状況が状況である。

店で支払いを済ませ、ノロノロと店を出る。

疲れのままにホテルに戻ろうとする足と、「嫌だ...!嫌だ...!」と拒否する頭の相反によって身体がエラーを起こし、気づいたらホテルとは逆方向の電車で終点まで向かっていた。

千葉県の地理に疎いので、ここがどこかも分からない。とりあえず待合室に入る。

それからの記憶は...正直あまり無い。

1人で2杯ぐらい立て続けに飲んだのもあるが、1人、駅の待合室で親が死んだ時の真顔の様な顔で虚空を見つめていたら、2時間半ぐらい経っていた。

 

気づくと、時刻は23時を回っていた。

この待合室で寝るわけにもいかないので、終電から3〜4本前の電車でホテルへ戻る。

 

ホテルに戻ってみると、流石に0時を過ぎたのもあってか、ホテルの玄関ドア自体施錠されており(ルームキーで解錠した)、ロビーには誰一人居なかった。

 

「ハハッw上へ行くよ!w」

 

うるせぇ!と怒鳴る気力も起こらず、息絶え絶えでエレベーターで上へと登る。

 

部屋に入った私は、ここでやらねばならぬ事を思い出した。そう、「ネタバラシ」の投稿である。

ホテルに置いてあった部屋着に着替え、次なる投稿に備えて準備を始めた。

 

スマホを固定し、ベットに座り、歌うのはback numberの「クリスマスソング」。

 

1番だけを歌った後、部屋に誰も居ない様子を動画に収め、投稿するという算段だ。

 

何度かNGを重ね、結局サビが覚えられなかった為カンペを用いて動画に収める。

ようやく納得できる動画が撮れた!と思って時計を見るともう1時半。

 

今投稿すると旨みが半減する為、明日投稿することにし、さっさと風呂に入り、もうあえて何も考えずに寝た。

 

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次回、ネタバラシ。そして周囲の反応やいかに。

 

 

後編へ続く。