CHRISTMAS BREAK 後編
Previously on CHRISTMAS BREAK....
前回のクリスマスブレイクは....
とうとうクリスマスイブ当日を迎え、因縁の舞浜に降り立った🦀。幸せオーラ全開の中一人公害の如く負のオーラを撒き散らしつつ、精神を極限まですり減らし、何とかディズニーランドでの匂わせ写真とディズニーリゾートでの匂わせ投稿を済ますことができた。
そして、いよいよネタバラシが始まるーーーー
2020年12月25日 07:58 千葉県浦安市 東京ディズニーセレブレーションホテル ウィッシュ
これ以上幸せオーラを吸収しようもんなら、身体が溶けて無くなる可能性がある。
そう考えた私は、ロビーやエレベーターなどでディズニーをお楽しみ頂いている方々の邪魔にならぬ様、始発電車で経つべくアラームを設定していた。が......
さすがはディズニーリゾート。ベッドの寝心地がめちゃくちゃ良い。
あと関係ないがコンディショナーがめちゃくちゃ良くて風呂上がりの髪がフワッフワになった
そんなこんなで惰眠を貪っていたらまさかのディズニー開館時間に近い時間に起きるという重大アクシデントをやらかしてしまった。
のそのそと準備をして荷物をまとめ、8時過ぎにようやく出発。
案の定、ロビーにはディズニーランドの当日券をお買い求めしている方々が沢山いらっしゃった。
そこへ、スーツケースと三脚を持って突入する男。
ディズニーをエンジョイされてる女性の方々がチラチラ奇異の目線を送ってくるという、逆モテ状態が発生していた。
チェックアウトを秒で済ませ、一刻も早くホテルを立ち去る。
これから夕方の新幹線で関東を発つ予定だ。
しかし、ホテルを出たのは朝。夕方まで時間がある。
それに加え、地域共通クーポン5000円を消費しなければならないという最後の使命が残されていた。
と言っても、使い道は何も決まっていない。
当初、横浜に泊まる事を想定していた為、新幹線を横浜から取っていた。となると、自然横浜近辺で消費するのが良いだろう。
とりあえず横浜へと移動することにした。
そしてやってきた、横浜 元町中華街。
中華街は飯食うところだし幸せオーラを感じずに済むだろうと思っていたらこれが大間違い。
「クリスマス中華街デート」を執り行う方々が大勢お越しになっており、舞浜に引けを取らないほどの陽オーラに満ち溢れていた。
そこへスーツケースを持って突入する私。
人気店はそうした方々の行列が出来ており、「おいしそー!」「一口ちょうだい」と言った沢山の賞賛のお声が聞こえてきた。
結局土産を買うこともできず、路地裏の誰も居ない中華料理屋さんで1000円分を使って昼食をとった。
残り4000円
これを何に使うか。
結局出た結論は横浜のユニクロで服を買うだった。
地域共通クーポンは土産店や観光地の飲食店だけでなく、コンビニやチェーン店など普通のお店でも使える。
ただし、泊まったところの周辺限定(千葉に宿泊した場合、使えるのは東京神奈川千葉茨城)のお店となる。
当然、チェーン店である横浜のユニクロでも使えるわけだ。
そういうわけで、わざわざ横浜まで来たのにユニクロで4000円引きで服を購入した。
そうしているうちに迎えた、夕方。
2020年12月25日 14:48 神奈川県横浜市 新横浜駅
出発を1時間後に控えた私は、早めに駅までやってきた。
そして、Wi-Fiが拾えるスタバでいよいよネタバラシを行う。
まず、手始めにクリスマスソングの動画を投下。
10分ほど間隔を空け、デート報告が嘘である事を示す証拠写真を立て続けにアップする。
そして、溜まっていたラインも一気に返す。
そして、周りも徐々にディズニーデートが嘘だと気づき始める。
「完全に騙された」
「どこまでが本当?」
「一周回って天才」
「令和のアガサ・クリスティ」
残念ながらこちらの爪が甘く、周りの人間全員を騙せたわけではなかったが、自分の交友関係にある者の9割はこの嘘を信じていた。まさに狙い通りだ。
こうして帰りの新幹線に乗り込んだ私は、どんどんつく"いいね"と、次々送られてくる感想をツマミに、氷結とビールを煽りつつ帰路に着いた。
◎反省点と所感
今回、「周りに彼女がいる事を匂わせ、クリスマスにディズニーでデートしたあとディズニーリゾートに泊まるように見せかける。」という当初の目標は達成した。
しかし、細かいところに目を向けると、やはり企画の粗が見える。
まず、ディズニーでのリサーチが足りなかったという点。
荷物検査が行われていることを知らなかったのは痛手となった。まあ、ディズニーに来たことさえ伝われば良いので門の写真を収めなくてはいけないということはないが、「ディズニーに入園した」という証拠が無い状態で匂わせを行っても、いまいち説得力が無い。
そもそも、本気でやるならば1人ででもディズニーに入園するべきだった。
周りの歓声の中、負のオーラ全開でランド内を彷徨くというのは公害を引き起こしそうで怖いが、先述のように園内に入っているという決定的証拠を得られるのは非常に大きい。1日分の入園料8000円に対する対価としては十分だと、終わってみて思っている。
今この企画が終わって感じるのは、「試合に勝って勝負に負けた」ということだ。
パートナーがいらっしゃる健常な方々は、そもそもクリスマスに対してそこまで恐怖心を抱いていないという前提で、「あっ、今年もクリスマスかー 今年は何しようかな〜」といった軽い気持ちで、直前に適当に予定をお立てになり、様々な形で特別な夜を2人でお過ごしになる。
つまり、特に何も考えずとも幸せな時を迎えられるということだ。
一方で私の場合、クリスマスなどの話など一言も出ていない半年近く前から、"奴"がやってくる足音に恐怖し、戦慄し、その執行を待っていた。
そうした中で何をすべきなのかをまず考え、どう言った段取りで"奴"の刑の執行を受けるか、綿密な計画が必要である。
そうして数ヶ月間練りに練りまくった計画は、見事成功したと言えると思う。自分の持ちうる力を存分に発揮し、見事成し遂げたという点では、就活の「学生時代に力を入れた事」のエピソードで書ける話だろう。もう就活終わったけど。
そういう意味では、なんとなく、とりあえず2人で過ごしていれば良いという考えで過ごす健常者の方々とは違い、試合には勝ったと思っている。
だが、負けは負けだ。勝負としては明らかに「勝ち」ではなく、「負け」もしくは「敗北」もしくは「LOSE」だ。それは疑いようの無い事実であり、認めなくてはならない真実だ。今回、クリスマスディズニーデートをしたという嘘を巧みにつくこと自体はできたが、別に誰かを出し抜いたわけでもない。嘘をついたところで、「あぁ...結局この人は今年も1人だったのね」という感想を抱かれるだけだ。「クリスマスデートを行った」事実は絵空事であり、勝負としては、リアルに2人で幸せにお過ごしになっている方々に分がある。
学生時代最後の、「試合に勝って勝負に負けた」クリスマス。
「クリスマスイブに1人でディズニーに出かけ、入園せずにディズニーリゾートにだけ1人で宿泊した経験がある」ということだけを誇りに、これから40年近い労働刑を過ごしていこうと思う。
以上。
ご静聴、ありがとうございました。
完 〜fin〜
CHRISTMAS BREAK 中編
Previously on CHRISTMAS BREAK....
前回のクリスマスブレイクは....
「全力で負ける」ことをコンセプトに、匂わせする為だけに1000km以上離れたディズニーのホテルに宿泊することになった🦀。
念には念を入れ、周囲に彼女ができたことを喧伝しつつ、本当に彼女と行く事をみせかけられたことに成功したようだ。
そして、いよいよ実行の日を迎えることとなる。
前回後編と書きましたが、尺の都合上三部構成となりました。申し訳ありませんが最後まで付き合っていただけたら幸いです。
ーーーーーーーーーー
2020年12月22日 20:58 某県某市 バスセンター
クリスマスイブに「東京ディズニーセレブレーションホテル」を予約したが、家を出たのはその2日前であった。
千葉まで1000km以上。宿泊だけで25000円も使ってしまった為、行き来は極力抑えるよう予定を組んだ。
これから3000円の激安夜行バスに乗り、大阪へ。そこから在来線の普通列車でひとまず静岡を目指す。
コロナの感染者が(首都圏に比べて)比較的少ない静岡で一泊し、その後ディズニー入りをすると言うわけだ。
というわけで、夜行バスに8時間、そこから在来線に8時間揺られて静岡に到着。
折角静岡まで来たのだからと、何か観光しようと思ったが、何一つ観光スポットが思いつかなかったので、静岡駅近辺をウロウロしていたらいつのまにか夜になっていた。
ちなみにあの有名な富士山は、全く雪を被っておらず、よく見る青と白の山ではなく、薄茶色のただの山だった。
そんなわけで、翌朝。
いきなり「ディズニー行ってきた!」と言うと不自然に思われるかもしれないため、ここで1つ目の投稿を投下。
この投稿で、何となくディズニーに着いたことを匂わせる。
なお、このツイートをしたのは静岡駅前であり、とんだ嘘投稿だった。
そして、一路ディズニー最寄りの舞浜を目指して出発。
...の前に、まずインスタをアンインストールしておく。
匂わせは全てTwitterで行うと決めており、インスタでは一切行わないと決めていた。
というのも、インスタはガチのリア充投稿に溢れているからである。
私自身、リア充投稿を見ると冗談ではなくガチでムカつくタイプだ。
舞浜周辺で精神が崩壊することは目に見えているが、恐らくその状態でガチの投稿を見てしまうと、発狂して舞浜駅前で焼身自殺か何かをしてしまう恐れがある。
その予防として、"ガチ"の投稿はシャットアウトすることにした。
さてさて、在来線で舞浜を目指した🦀だったが、途中で電車を降りてただの山と化した富士山の写真を撮ったり、飯を食ったりしていたため、結局舞浜には15時に着いた。
...とうとう、因縁の地へ降り立った🦀。
降り立って直ぐ、まず秘密兵器を取り出す。
そう、ディズニーデート特有のカチューシャだ。
決行の1週間ほど前、メルカリでこの日のために購入したカチューシャを取り出す。
2つセットだった為、ちょうどよかった。
そして三脚。
今回、匂わせ写真を撮るためだけに持参した幅1mぐらいの三脚も、ついでに取り出した。
それにしても.....
舞浜駅前、予想以上にしんど過ぎる。
改札を出て直ぐから、家族連れとカップルの幸せオーラに満ちており、目立たないような服装でイヤホンをし、スーツケースを引きずりながら歩いている自分が非常に目立つ格好となっていた。
....本気で頭痛がしてきた。それに、動悸と息切れが止まらない。
その間、幸せオーラ全開の、大勢のカップルや家族連れとすれ違う。そして、時々こちらに投げかけられる、奇異の目。そりゃ当然である。
皆が1日ディズニーを楽しんで帰ろうとしている時間帯に、スーツケースと三脚を引きずった1人の男が、入り口に向かっているのである。
何と異常な光景だろうか。
そんな珍動物を見るような目を向けられつつ、なんとかランドの前まで行こうとしたのだが、ここである問題が発生した。
それが、荷物検査である。
皆、当然のようにパスしていくところだが、スーツケースを引きずり、三脚を抱え、イヤホンを付けて人と目を合わせようとしない奴が通るわけが無い。
そう判断し、検査場に入る前で匂わせ写真を撮ることにした。
こちらをご覧いただきたい。
これが、今回私が撮影した匂わせ写真だ。
これをどうやって撮ったのか。
答えは簡単。三脚を立ててスマホを固定し、撮影するだけ。
そして、起動したカメラの画角に合わせてカチューシャを持ってくれば完成である。
...と、ここまで書けばすごく簡単なように見えるが、実は、至難の業だった。
というのも、ここは通路で、幸せオーラ全開の方々がお通りになる。
当然、負のオーラ全開で、三脚を立ててゴソゴソやってる奴が目立たないわけが無い。
生まれて初めて、「ママ〜あれ何〜?」「シー、見ちゃいけません」という反応をされた。
本当は色々な場所で何枚か撮りたかったが、そんな周りの目に耐えられず早々に退場した。
そして、投稿されたのがこちら。
我ながら、完璧な投稿だと思う。
ちなみに1枚目の写真だが、何年か前に流行った #彼女とデートなうに使っていいよ のタグを元に、ネットの海から拾ってきたものである。
いやーネットってのは怖いねぇ。
また、投稿する文章も出来るだけナチュラルになるよう、細心の注意を払った。
こうして、匂わせというか、もうガッツリデートの報告ツイートが完成した。
ありがたいことに、周りもこれを信じ始めたようで(先日のご報告の記事を読んでいたのもあるが)、おめでとー!だのたのしそー!だのメッセージが沢山寄せられた。まあ、実際はめでたくもたのしくもないが。
こうしてランドでの写真を一通り撮り終え、ホテルへ向かった。
ホテルへ向かう電車の中。
顔が死んでいた。
これほど電車から降りたくないと思ったことはなかった。
周りには、1日ディズニーを満喫し帰路に着く者、これからディズニーリゾートを楽しまんとする者、果てや、これから夜のディズニーに向かう者など、陽と幸せな空気が漂っていた。
一駅3分しかない乗車時間。体感30秒程度で東京ディズニーセレブレーションホテルの最寄り駅、新浦安駅に着く。
幸せオーラ全開の方々と同じバスに乗るのは気が引けたので、真っ直ぐタクシー乗り場に向かう。
バスの10倍近い値段がかかったが、これ以上あのオーラの中に居ると自爆してしまいそうだった。
タクシー運転手に無駄な詮索をされぬ様、イヤホンを付けて到着を待つ。
10分ほど車に揺られ、ホテルに到着。
さすがはディズニーリゾート。タクシーで着いた私をホテルの従業員の方が笑顔で迎えてくださり、スーツケースを運んでくれた。
コロナ禍ということもあり、まず体調面に問題がないかの問診がある。すると、また従業員の方が話しかけてきた。
「お荷物をチェックインが終わるまでお預かりしたいのですが、お連れさまはいつ来られますか?」
「いや、僕1人で泊まります.....」
「あっ....(察し)」
キーンと耳鳴りがする。周りではしゃぐ子供の声が一瞬遠くなった。
「...ちら引き換え券となっておりますので、チェックインが終わりましたらあちらでお渡しください。」
何かを察した従業員の方は、優しい笑顔でそう案内した。
問診を記入して、カードキーを受け取り、さっきの従業員の方から荷物を受け取ってエレベーターで部屋へ向かう。
「ハハッw上へ行くよ!w」
そんなミッキーのエレベーターの案内が、煽りにしか聞こえなかった。
ガチャガチャとスーツケースを鳴らしながら、1人、部屋に入る。
どう見てもイブに1人で泊まる部屋では無い。
ホテルに宿泊しながら、こんなにも落ち着かない部屋は初めてだった。
とりあえず報告を行う。
どうやら私は、これまでに泊まった中で1番のオシャレホテルに、イブに1人で泊まるらしい。
それより、こんな部屋に1秒でも居たくない....
そう考えた私は、入室して30分と経たず、「飯を食いに行く」という名目でホテルを出た。
それから、適当に店を見つけて入り、1人で食事をする。
食事を終えた時点で20:31。
何故だか、全くホテルに戻りたくなかった。
普通ホテルは1日の疲れを癒す為、ゆっくり休むところだ。
一日中行動して疲れたなら、ホテルでゆっくり休むのが筋だろう。
だが、今回は状況が状況である。
疲れのままにホテルに戻ろうとする足と、「嫌だ...!嫌だ...!」と拒否する頭の相反によって身体がエラーを起こし、気づいたらホテルとは逆方向の電車で終点まで向かっていた。
千葉県の地理に疎いので、ここがどこかも分からない。とりあえず待合室に入る。
それからの記憶は...正直あまり無い。
1人で2杯ぐらい立て続けに飲んだのもあるが、1人、駅の待合室で親が死んだ時の真顔の様な顔で虚空を見つめていたら、2時間半ぐらい経っていた。
気づくと、時刻は23時を回っていた。
この待合室で寝るわけにもいかないので、終電から3〜4本前の電車でホテルへ戻る。
ホテルに戻ってみると、流石に0時を過ぎたのもあってか、ホテルの玄関ドア自体施錠されており(ルームキーで解錠した)、ロビーには誰一人居なかった。
「ハハッw上へ行くよ!w」
うるせぇ!と怒鳴る気力も起こらず、息絶え絶えでエレベーターで上へと登る。
部屋に入った私は、ここでやらねばならぬ事を思い出した。そう、「ネタバラシ」の投稿である。
ホテルに置いてあった部屋着に着替え、次なる投稿に備えて準備を始めた。
スマホを固定し、ベットに座り、歌うのはback numberの「クリスマスソング」。
1番だけを歌った後、部屋に誰も居ない様子を動画に収め、投稿するという算段だ。
何度かNGを重ね、結局サビが覚えられなかった為カンペを用いて動画に収める。
ようやく納得できる動画が撮れた!と思って時計を見るともう1時半。
今投稿すると旨みが半減する為、明日投稿することにし、さっさと風呂に入り、もうあえて何も考えずに寝た。
ーーーーーーー
次回、ネタバラシ。そして周囲の反応やいかに。
後編へ続く。
CHRISTMAS BREAK 前編
メリークリスマス、みんな。
この記事を書いているのはクリスマス前だが、投稿されるのはきっとクリスマス、12/25だろう。
クリスマス....
今年もやってきた、一年の中で最も重要なイベントの一つである。
日本では、10/31のハロウィンが過ぎると、街は一斉にカボチャが撤去され、光害(イルミネーション)と騒音(クリスマスソング)と対人兵器(クリスマスに向けて付き合ったであろうカップル)で溢れている。
11月と12月は街中クリスマスに彩られ、実に、1年の6分の1をこのイベントによる支配を受けているのだ。
クリスマスとは元来聖なるイエスキリスト様の誕生の日だが、現在の日本では「恋人と幸せに過ごす日」となっているのは周知の事実だろう。
人様の誕生日に恋人と楽しく過ごすというのはお門違い過ぎる。直ちにそういった行為は辞め、聖なるイエス様の誕生を祝うべきだ。
...という話がしたい訳ではない。
クリスマスはリア充が幸せに過ごす日であると同時に「我々」非リア充は何をやっても負け組になる日であるということだ。
たとえバイトをしようが、非リアで集まってパーティーしようが、自分の好きなことに打ち込もうが、どうやってもリア充に勝てない日なのである。極論、息をするだけで、歩くだけで負け組なのだ。
「我々」非リア充は何をどうやっても勝てない。クリスマスは1年の6分の1も鎮座しておきながら、そんな非常に残酷なイベントである。
クリスマスイブに街を歩く非リア充たちの顔をイメージしたと言われている(大嘘)、イリヤ・レーピン作「ヴォルガの船曳」
では、「我々」非リア充は何をすべきなのか。
私はこのイベントに向けて考えた。どうやっても勝てない。でもすんなり負けるわけにはいかない。だからといって勝てる訳がない....
就活が終わり、秋も深まった頃から、毎日毎日その自問自答を繰り返してきた。そして私は一つの結論に至った。
どうせ負けるなら、全力で負けようと。
「負ける」方向で全力を尽くす。この「積極的敗北主義」は、2020年後半期の私のスローガンとなった。
では、具体的には何をすべきか。
クリスマスに、「敗北者」として何が出来るのか。
その答えは、11月に入っても出てこなかった。
しかし、人間火事場の馬鹿力とはよく言ったもので、"奴(12/25)" が近づくにつれ、私のクリスマスの過ごし方は決まった。
全力で、匂わせる。
これだ。
全力で勝ったフリをし、実は負けている。
側から見たら「クリスマス彼女できました!!!」と散々言っておきながら実はいない。居ないどころか出会ってもない。こんなに面白いことはないだろう。
「積極的敗北主義」の旨みはここにある。敗北することで、周囲から笑いを取れる。人間、やらかしていたり、変な行動をしていたり、不幸になっている人を見ると、自然と笑いを感じる。面白いと感じる。
ある友人が、ある日私にこんな事を言った。
「お前は、不幸な方が面白い」と。
本当に彼女が出来て幸せになるより、彼女が出来ず、恨みつらみを述べつつ、何処かでそれを欲しがっている。そんな様子がとても面白い。
そういう意味の発言だった。
私にとって、この発言は衝撃であった。常日頃リア充に恨み、憎み、彼女が欲しいと絶叫してきたが、いつまで経っても彼女も出来ない自分を、どこかで美味がっている。
そんな自分に気付かされたのだった。
これが、私が「積極的敗北主義」に転じた理由だ。
というわけで、クリスマス 全力匂わせプロジェクト「CHRISTMAS BREAK」は始動した。
①何をもって匂わせるか
まず、匂わせとは何なのか。
>>
はっきりと明言するわけではないが、“それとなく思わせる”ような“何かを匂わせる行為”のこと。特に芸能人に対して使われる言葉である。
ブログやSNSで、女性芸能人が交際を噂されている男性芸能人と同じものを身に着けた写真を投稿し、“交際を匂わせる”行為を指して使用される。(numan.tokyoより引用)
つまり、自分に彼女が居るような振る舞いをSNSですれば良いということだ。
無論、匂わせ投稿するだけでは意味がないので、匂わせ投稿の翌日にネタバラシもしなくてはならない。
その為、全力で匂わせ投稿をした後、1人でホテルに泊まっている様子を投稿をすれば、"全力で負けた"と言えるに相応しいだろう。
②計画
まず前提として、匂わせを行うには大量の金がいる。何たってクリスマスは、リア充にとって"特別な日"なのだから、普段なら絶対にしないような贅沢をすることだろう。
その為に、私は10月から2ヶ月に亘ってバイトにバイトを重ねた。週5のバイトの他、単発バイトを入れまくり、1ヶ月に10万を余裕で越す程度にまでなった。まぁ稼いだ分自分の為に使うので手元にあんまり残らなかったというのは内緒だ。
では、一般的なリア充はクリスマスという特別な日に行いそうなことは何か。私は、以下の3つのプランを立案した。
1、ホテルのスイートルーム宿泊
安直だが、行う可能性としては充分に考えられる。
スイートルームなんて、特別でもなんでもない日に泊まる人なんて居ないだろう。クリスマスという特別な日だからこそ、何万も出して特別な一夜を過ごすのだ。
だが、それはリア充の場合であって、私のような敗北者が一人で泊まるには負担が多過ぎる。
匂わせ投稿で貰えるであろうたかが何十かのいいねの為に、10万近くの金を出すのは不釣り合い過ぎる。
一応値段を調べてみると、今話題のgotoを使って6〜7万円程度。金は有り余っているとは言ったものの、泊まるだけで6〜7万はいくらなんでも負担がデカ過ぎる。
そんな予算的な理由で、この案は却下となった。
2、夜景が見えるホテルに宿泊
クリスマスといえばリア充が求めるのはロマン。ロマンといえば夜景。そんなよく分からない方程式をたて、いざ調べてみた。
夜景といえば有名なのは横浜である。家からはかなり遠いが、横浜は言わずと知れた繁華街であり、夜景以外にも(リア充として)楽しめるものはたくさんある。そんな理由で横浜をチョイスした。
正直、横浜でリア充が行きそうなところに1人で行き、夜景が見えるホテルに1人で泊まり、その様子を投稿するというのは「匂わせ」としては十分であった。
しかし、何かが足りない。というより、わざわざ横浜である必要が分からなかった。「クリスマスに彼女と横浜で過ごす」というのは、どうにもパンチに欠ける。そんな中、また新たに思いついた案によって、横浜案はかき消される事となる。
3、ディズニー宿泊
日本最大のテーマパークであり、またド定番中のド定番のデートスポットだ。
それも、ただ行くだけではない。
「クリスマスに彼女とディズニーに行き、そのままディズニーリゾートに泊まる」
まさに、リア充の中でもトップカーストに当たる方々が行う所業だろう。
思いついた私の行動は早かった。バイトの休憩時間、スマホを手にした途端一気にディズニーランドとディズニーリゾートの情報を調べ上げた。
しかし、ここである問題が発生した。
私はディズニーで匂わせられるような写真が撮りたいだけなのであって、ディズニーで1人で遊びたいわけではない。ディズニーに興味がないのもあるが、わざわざ遠く離れた千葉まで行くのだから、自分の好きなところに行きたい。
ではどうすれば良いか。
ディズニーランドの門の前で匂わせ写真を撮り、その後ディズニーリゾートに1人で宿泊すれば良い。
そうする事でランドに入る金8000円強が浮く上、寝床も確保できる。
ディズニーリゾートに泊まるのは確かに金がかかるが、私が行いたいのはあくまで匂わせであって、ディズニーを楽しむ事ではない。
こうして私は、「東京ディズニーセレブレーションホテル」を12/24に1名で予約したのだった。
③種蒔き
さて、ざっとクリスマスイブに何をするか決めたところで、次は "種蒔き" を行う必要がある。
すなわち、周囲に「彼女が出来た」ということをそれとなく伝えるという段階が必要となる。
よく考えて欲しい。それまで「彼女が居ないキャラ」として定着していた奴が、急にSNSで「クリスマスに彼女とディズニー来ました!」と言っている。
100%、ネタだと思われるだろう。
「あー毎年恒例のネタねはいはい」
これでは、「全力で負けた」とは言えないと思う。多分2日後には私がそんなネタを投下していたことすら忘れられるだろう。
全力で負ける以上、何ヶ月か、いや何年かは語り継がれるようなネタでなければいけないのだ。
やるからには本気で。これが今回のプロジェクトのコンセプトであると勝手に思っている。
そういうわけで、彼女がいることを周囲にアピールしたうえで、全力でディズニーデートを楽しんでいるということが伝わらなければいけない。
ここで、冒頭から読者諸兄が感じていたであろう疑問が、自ずと解消してくるだろう。
先日投稿したご報告。
あれも"種蒔き"の一部だった。
プロジェクト達成のためとはいえ、よくあんなに痛い文章が書けたものだと我ながら才能を感じたものだ。
ちなみに、当ブログでは今後もガイジエピソードを存分に語るつもりなので、ご安心頂きたい。
だが、ご報告だけでは、私の身近にいる人間には伝わらない。ここで、私が1ヶ月弱の間に行った「彼女いるアピール」のエピソードをご紹介しよう。
・久々に会った友人に、おもむろに「俺...クリスマスに予定できたわ」と切り出し、ディズニーに行く事を伝える。
・ネットや又聞きした恋愛知識で、彼女いない奴に「恋愛とは何か」の講釈を垂れる
・飲み会中、事あるごとに「でも俺今年はリア充だからw」と口を挟む
・友人と飯を食ってる時、「ごめん、俺行くところあるから」と無駄に早く帰る(行くところとはもちろん自宅である)
・「オレは彼女にクリスマスプレゼント買ったんだけど、向こうは買ってるか分からない...どうしよう」と無駄にリアルな相談を持ちかける
・彼女はどういった人なのかといった具体的な情報は「そのうち話す」といってはぐらかす
・もう引退している身分なのに、サークルに出向いて喧伝する
自分でも書きながら頭が痛くなるエピソードばかりだが、「彼女が出来て調子に乗ってる奴」としての演技は全力果たせたと思っている。
ちなみに実際はどうだったのかと言うと、ガチで出会い系をやろうとして、普段の写真をプロフィールに設定していたところ、誰ともマッチングせず、あっという間に有料期間が終わり、4000円をドブに捨てた。11月中旬の出来事である。
天才的扇動の才能を以って民衆を熱狂の渦に巻き込み、ドイツを泥沼の戦争へと導いたナチスドイツの党首アドルフヒトラーは、このような言葉を残している。
「嘘を大声で、充分に時間を費やして語れば、人はそれを信じるようになる。」
漠然と、何の計画もなくただ「彼女が居る」と周りに言うのではなく、クリスマス数週間前から人と会うたびに何度もその嘘を伝える。そして、極め付けにと先日の投稿のように最もらしいことを書き立てる。
そうすることで、こちらは彼女に関する情報を一切明かしていないのに、周りは私に彼女が居るという大嘘を信じ始める。
ヒトラーは次のようにも述べている。
「人々が思考しないことは、政府にとっては幸いだ」
自分らの政策に対し、民衆が何も疑問を持たない。それこそが政府が一国を操るのに最も都合が良い、と言う意味だ。
周りが「私に彼女がいる」という事実に何も疑問を持たなくなった時こそが、"種蒔き"としてのステップ完遂と言えるだろう。
そういうわけで着々と「あいつに彼女が出来たらしい」という噂は広まっていった私は、あとは当日を迎えるのみとなった。
ーーーーーーーーーーーーーー
次回、いよいよ匂わせ実践へ。
後編へ続く。
ご報告。by🦀
皆さんお久しぶりで御座います。
キモ過ぎタラバガニです。
このブログ、4人で始めたのに、いつの間にか私1人だけが更新し続けるブログとなっていますね。笑
さて、今日は報告したいことが2つあり、何ヶ月ぶりかの投稿でこの場を借りて報告させていただきたいです。
私、キモ過ぎタラバガニ。
彼女ができました。
はい。
馴れ初めや相手はどんな人なのか。みなさんが疑問に思うのはよく分かるのですが、書くと長くなるので、また別記事にまとめたいと思います。
ただ言いたいことは、自分に本当に心から好きな人ができたという報告ではなく、今まで「奇人・変人エピソード」を軸に書いてきたブログのコンセプトを変えたいということです。
僕は、彼女が出来て気付きました。
いつまでも自分のことをガイジだ変人だと決めつけ、何も努力しないのは何の生産性も無いことに。
自分のことを卑下して、彼女なんてできるわけがありません。
この記事を書く前、一度過去の投稿を読み返してみました。
正直、見ていて頭が痛くなるものばかりでした。
もしタイムマシンがあるなら、過去の僕に言いたい。
恋は向こうからは来てくれないぜ。
いつまでも自分を卑下しているようじゃ、一生幸せになれっこありません。
なので、これからは自分を卑下することを辞め、前向きに生きていきたいと思います。
話が少し逸れてしまいました。
このブログ。他の3人は何を投稿するのか、そもそも投稿自体するのかわかりませんが、僕自身は、今までの「自分の奇人変人エピソード語り」を辞め、僕と彼女が織りなす「カップルあるある」な日々を徒然なるままに語って行きたいと思います。
このブログの記事から、自分を変えていきたい。
ということで、次回は、僕と彼女の馴れ初めと、今年のクリスマス、2人で過ごした最高の思い出について語ろうと思います。
ちなみにまだ行ってないのですが、今年のクリスマスは彼女とディズニーデートする予定です。笑
この度は、急な報告と、ブログの方針転換になったこと、お詫びします。
これからも末永くお付き合いくださいますようお願いします。
あなたにも幸あれ。
🦀でした。
就活を終えて〜ヤバ企業エピソード〜 面接編
皆さま、おはこんばんにちわ。
お待ちかね、ヤバ企業エピソードのお時間です。
<前々回、合同説明会編>
就活を終えて〜ヤバ企業エピソード〜 合同会社説明会編 - 健常者になれなかった者たち
<前回、インターン編>
就活を終えて〜ヤバ企業エピソード〜 インターン編 - 健常者になれなかった者たち
大変お待たせしたが、今回は最終回ということで、就活生なら誰もが経験する面接について、お話ししていきたい。
就活の面接とは
就活において、面接は避けて通れない道だ。面接自体は、どんな企業でも、民間企業ではない公務員試験でも面接は行われている。面接は基本書類選考を通った者だけが受けられるようになっており、一次面接を突破したら二次面接、それを突破したら最終面接、というように細かいフローの違いはあれど何度かの面接を経て内定という形になる。
中には雑談のような一次面接だけで終わるところもあるらしいが、一体学生の何を見て判断しているのだろうか.....
まあそれはともかく、面接というのは社員の方に自分をアピールする唯一の機会であり、ミスは許されない。従って、本命企業の前に幾度も練習を重ねるのが得策だろう。逆に、ろくすっぽ練習もせず臨むと、ボロが出ることになる。
ただ、面接はこちらをアピールする場であると同時に、その企業の雰囲気を知る絶好の機会でもある。面接官の雰囲気や態度を見ているとその会社がどんな会社なのか分かるし、こんな人と一緒に働きたいかを見極めるポイントともなる貴重な機会なのだ。
そうした貴重な機会は、当然地雷企業の炙り出しにもなる。聞いてくる質問の内容、こっちの言う答えを聞く姿勢などなど、よくよく観察しているとやはり相手のボロは見えてくる。
さて、前置きはこの辺にして本題に入ろう。
といっても、自分が経験したヤバ面接エピソードは1つしかない。コンプライアンス意識の高まる昨今、平気で家族構成を聞いてきたり、学生を怒鳴り散らしたり、出身地域や学歴などであからさまな差別発言をする等々アウトな面接をしてくるような企業は皆無であった。
だが、そうした法に引っかかるような行動を抜きにしても、記憶に残るヤバ面接をしてくるような企業も存在するのだ。
-----------------
その企業は、会社説明会に参加し、一次面接→二次面接まで行った企業だった。
会社説明会では、会社も会社を説明する社員も大変に魅力的だった。社員は自信を持って自社のプレゼンを行っていて、その自社に誇りを持っている雰囲気が気に入り、エントリーシートを提出した。
書類選考はあったのか無かったのか、そのまま一次面接に案内された。
こうしてトントンで迎えたオンラインでの一次面接。はじめは緊張していたが、終わる頃には気分爽快であった。何と話しやすい面接だろうか。社員は笑顔で話を聞いてくださり、深堀りの質問も、自分が話したかったところを突いてくれた。何しろ「本当に自分のことが知りたいんだ」という姿勢が画面越しにひしひしと伝わってきた素晴らしい面接だった。
次も頑張ろう。その気持ちで二次面接へ向かった。
結論から言うと、その二次面接はお祈りだった。
無論、伝えるべきことは伝えたつもりである。が、及ばず祈られたということだ。
面接は3人の集団面接かつweb面接でスタートした。
真ん中に座るのは部長のおじさん3人。しかし、前回とは打って変わってあまり聞く態度ではない感じだ。
まず出身大学と名前を言う軽い自己紹介から始まる。ここまではいつも通りだ。だが、その後の質問は意味不明なものばかりだった。
まず、コロナの質問をやたらしてくる。最初、リラックス程度にコロナで就活大変だね〜と話を振ってくれる企業はたくさんあるのだが、明らかにリラックス目的では無い。
コロナで就活の影響はどうか。ここまではわかる。が、一番意味不明な質問は
「コロナで自宅にいることが多いと思うんですけど、自宅で何してますか?」
は?
いや、そんなこと聞いてどうすんだよ。
自分らの何が知りたいのか全く分からない質問である。
が、一応つつがなく答える我々3人。
しかし、その反応も「ふーん」と言った感じで全く興味なさげだ。
興味がないから聞くなよと。
そして、次の質問。
「今、自宅での話をして頂きましたが、コロナがないときは普段何してるんですか?」
これってお見合いなのか?
ただ単にプライベート知りたいだけだろ。
次の質問。
「今サークルや部活の話をして頂きましたが、それらがない時は何してますか?」
もう、お見合いを通り越して取り調べである。
しかし、面接という建前上、答えない訳にもいかず、とりあえず自分の1週間を説明する。
結局意味不明なプライベートを聞かれまくること数十分。面接は終盤に突入していた。
そして、最後の逆質問だった。
まず、1人目が質問した。まあ、この質問は何だったか覚えてないので、多分普通に答えていたんだろう。
そして、自分の番。私は、決めていた質問を投げかける。
「御社が不況の煽りで経営が傾いた時、どういう風に持ち直しますか?」
答え
「ん〜まあ残念だし心苦しくはあるんだけど、やっぱり経営が苦しくなったときは社員に依頼退職をお願いしてるかな」
おい、マジかよ。
苦しいときはこういう風に立て直します!じゃなくて、苦しい時は社員クビにしますってことなのかよ。
だが、これはまだ序の口であった。
極め付けは最後の質問である。
その3人目の彼は、THE運動部と言った感じで、面接中、運動部らしい大変ハキハキとした声で元気に喋っていた。まあ早口だったのが気になったけど。
彼がハキハキと元気のある声で聞く。
「はい!御社で活躍しているのはどのような方ですか?」
まあ、定番の質問である。
すると、驚きの答えが返ってきた。
「んー残念だけど君みたいに元気がいい人はあんまり居ないんだよね。うちは大人しめの子が多いから。あとやっぱり地元のOO出身で長男の人が多いかな〜」
絶句。
もうこの言葉に尽きる。
この回答、「お前はうちでは活躍できない」と真っ向から言われてるようなものである(ちなみに彼の大学は地元ではなかった)。
まあこの質問に回答した面接官は面接中ずっと態度が悪かったし、元々コンプライアンス意識が高度経済成長期で止まっている可能性もあるだろうが。
兎に角、後にも先にも「お前は活躍できない」と堂々と言ってくる面接官はこれが最後だった。
それまで元気満点だった彼も、さすがに「ありがとうございました....」とあからさまに落ち込んでいた。そりゃそうだ。
私は、面接に落ちたことより、学生に対し平然と舐めた態度を取ってきたことに怒り心頭であった。それまでの説明会や面接が素晴らしかっただけに、心の底から幻滅した。
結論、この会社だけは面接落ちて良かったと思っている。
冒頭、コンプライアンス意識が欠如した面接はなかったと書いたが、改めて振り返ってみると、やはりゼロではないのは事実である。
ただし、このように「聞こうとする姿勢」「会社に入れようとする姿勢」が無いような会社は稀だ。これから就活が始まる諸君は、地雷企業を面接で見分けることも大切であることを伝えておきたい。
いかがだっただろうか。全3回に渡ってお送りした、「ヤバ企業エピソード」。
まあ、実際自分も大したところに就職できたわけでは無いので、あまり偉そうにアドバイスできる立場では無いのだが、こういったヤバ企業が普通に存在しているということを共有すべく、全3回に分けてお送りした次第である。
就活。2度としたくないが、終身雇用崩壊と言われるこのご時世、また面接を受けなければならない機会はあるだろう。またこのクソイベをしなくてはならんと思うと、憂鬱というより、面倒だ。
ということで、就活を終えて〜ヤバ企業エピソード〜、これにて終了だ。ご精読、ありがとうございました。
就活を終えて〜ヤバ企業エピソード〜 インターン編
皆さまおはこんばんにちは。
ヤバ企業エピソードのお時間です。
前回、ヤバ企業エピソード 合同企業説明会編をお伝えしたが、今回は、その続編の、ヤバ企業エピソード インターン編をお伝えしたい。
https://we-are-not-normal.hatenablog.com/entry/2020/07/30/124450
前回の記事
⓪インターンとは
インターンとは、企業が就活生に向けて開催しているイベントで、所謂「お仕事体験」である。
元々のインターンは、実際に学生が数ヶ月企業で働き、給料を受け取って仕事を体験するという行事なのだが、実際のインターンは1dayや3dayのインターンが多く、お仕事体験というより、会社説明の要素が強い。
しかし、会社説明はあるものの、どこも実際の仕事に近い内容のプログラムもしっかりと組み込まれているため、その後選考が始まってエントリーシートを書く際に非常に役立つので、是非参加するべきだと思っている。
また、インターンは地雷企業の炙り出しにも有効である。数時間から1日もの間その会社の人間と一緒にいるのだから、その会社の雰囲気を感じ取ることができ、地雷企業はその短い時間でボロを出すのだ。
ということで、今回は実際に自分が経験したヤバ企業のインターンエピソードを語っていきたい。
①開始
2020年2月某日ーーー
雨の降りしきる中、私は先日インターンを申し込んだ会社に来ていた。時間は集合時間10分前。まあちょうど良い時間だろう。会社の前に来ると、人事担当の方が外まで迎えに来られていた。
わざわざ出迎えてくださるとは、なんだか申し訳なくなると同時に、少し遅め(???)に来た自分を責めるでもなく笑顔で迎えてくれた人事の方に、比較的良い印象を持った。
少なくとも、プログラムが始まるまでは。
②無駄に意識が高い
さて、最後に入ってきたのは自分だったので、プログラムは時間通りスタートした。
人事部長の挨拶の後、とりあえず自己紹介の時間となる。するとさっき出迎えてくれた人事がこんなことを言ってきた。
「今日は皆さんに会社説明やワークをしてもらいますが、僕からは敢えて当てたりはしません。僕はこういう場で積極的に発言する人こそうちに来てもらいたい。さぁ、誰から自己紹介始めますか?」
...?
「一応言っときますけど、こういうとこで手を上げられる人をちゃんとチェックつけてますからね。」
するとポツポツ上がる手...
な、なんだこれ。
「敢えて当てたりしません」なんてセリフ、中学生ぶりに聞いた。
これ、学生に対して内定を餌にしてるだろ。
そんな感想がよぎったが、まあこういうやり方も無いわけではない。とりあえず不問として、型通りの自己紹介を済ませた。
③無知無能
さて、自己紹介を終え、いよいよプログラムがスタートした。
最初は会社説明。そもそもこの業界はどういう業なのか。そしてうちの会社はなにをやっているのか。そんなことをスライドでポツポツと説明する人事。
そして、あいだあいだで質問コーナーを挟んできた。
「質問ありませんか?私は見てますよ。」
圧力をかける人事。
私は手を挙げ、聞くか迷っていた質問を聞くことにした。
「あの〜、この会社って今のところコロナの影響とかってあるんですか?」
「え?コロナ?...うーん....ウーン..........」
「今のところ無いんじゃないかな!僕は把握してないけど!」
思わず失笑しそうになった。
別の女子が手をあげる。
「さっき採用のとこで、結構毎年男性を多く取られてて、女性はあんまり取ってないように見えたんですけど、女性も活躍されてるんですか?」
(毎年男性は5〜6人採用しているのに対し、女性は2年に1名と言った感じだった)
「え?女子?...ええっとねー、、、、さっき出した表に書いてある採用人数は僕が採用担当した年から書いてるんだけどぉ〜.........まぁ活躍してるんじゃないかな!」
えぇ....
まあ、コロナのことを把握してないならわかる。当時は起きたばかりだったし、それを短期間で把握するのは困難なのはまだ分からないでもない。
だが、女性社員にの話に関しては、採用してないなら、今年までは少ないけど今後は活躍出来るように増やそうとしてるとか言っとけばいいのに、何故わざわざ意味不明な発言をするのか。全く余裕というものがない社員だ。
そもそも、この質問に対する言い訳を自分のようなしがない学生ですら考えられるのに、君は一体この会社で何をしていたのかね?👨🦳
④重学歴主義
さて、プログラムは小休止に入り、トイレを借りることにした。
すると例の人事が耳打ちしてくる。
「さっき挨拶してた人事部長の人、君と同じ大学だよ(ニヤッ」
「あっそうなんですね〜」
と、型通りの返事を返す私。
トイレから帰ってくると、小休止が終わり、プログラムが再開した。
再開したプログラムは「採用のポイント」。こんなしょうもないインターンの中で、一際気になっていたプログラムだ。
密かに興奮(?)する私をよそに、プログラムは進行していった。
すると、1枚目のスライドには「過去の採用実績校」の文字。地元の有名大学の名前が並んでいた。
さらに社員の学歴の内訳まで円グラフにまとめてある。そしてまくし立てる人事。
「うちの社員はこんな感じになってます。まぁ、oo君の大学とか、入るのに有利かもね〜」
「XXさんの大学も....書いてないけど過去にはいたんじゃないかな?」
と丁寧な説明をして下さる人事。
この会社って学歴で採用してるのか?
たしかに、学歴は採用の重要な基準であることは間違いない。
しかし、それを第一にするのは違う。採用活動はその人の中身を見るべきであり、学歴なんて、いわゆるFランでなければどこでもいいのだ。むしろ、Fラン出身でも中身が素晴らしい人材であれば採用すべきだ。
要は、学歴なんてどうでも良いことなのだ。
その後の採用のポイントも、うちはESの通過率が高いだの、この学校からよくとってるだのしょうもないことを説明され、最終的に役立つ情報は「面接時に手遊びをしない」ということぐらいだった。
⑤地獄の昼休み
地獄、とは言い過ぎかもしれないが、昼休みも酷いものだった。
インターンで見るべきポイントは、会社説明などももちろんそうだが、この昼休みのタイミングで出される昼食である。
この昼食が豪華であればあるほど、その企業は余裕があり、志望するべきだということだ。
もちろん、一概には言えないが。
さて、この会社のインターンでは、昼食で弁当が支給された。なんと、重箱のような立派な箱に入ったお弁当だった。しかも味もなかなか美味しい。あれ、この会社実はアリなんじゃね?
と思ったのも束の間。少し遅れて飲み物が到着した。
飲み物はなんと紙コップに入った水。しかもおかわり禁止。これマジ?弁当に比べて飲み物が貧弱過ぎるだろ...
そして、若手社員だという、ヤリサーの会長みたいな男が席についた。
「今日は来てくれてマジでありがと!いや、ほんとマジでなんでも聞いてくれていいよマジで」
何回マジになってんだよ
今考えてみれば、彼の話は就活が始まってない者にとってはそこそこためになった話だったと思うのだが、結局この男は先輩の紹介(コネ)でこの会社に入ったらしい。
しかも、一緒にいる奴ら、全然質問しないし....
あんまり被害者面するのもあれだが、全然質問しないのだ。
その様子を聞いてマジマジ連呼する若手社員。
結局、この昼休みは紙コップとマジで終わった。
⑥惰性の後半
後半は実際の業務を体験するプログラムが組まれていた。
2人1組で与えられた課題を解くことになった。
しかし課題はそこまで難しくなく、制限時間の15分前には終わった。というか、こんなん答え1つしかないだろ。
だが、「答えは一つとは限りませんよ〜」と煽ってくる人事。お前は質問の答えを準備してからインターンやれ。
制限時間になり、答え合わせ。案の定当たる答え(なんか韻が踏めた)。
その後も課題のフィードバックや、今年の就活がどうだの話があった気がしたが、覚えてないのであんまり聞いてなかったんだろう。
最後、アンケートが配られ「インターンに関するご意見」という項目があった。言いたいご意見は沢山あるのだが、ああいう無駄に意識高い無能ほど本質を突かれるとガチギレしてくる。
結局何も書かず、「ありがとうございました〜」と退出した。
いかがだっただろうか。ヤバ企業インターン編。今回参加したインターンは「行くべきではない会社」の基準が得られたという点で大変有意義なインターンであった。
インターンに関しては、個人的には迷ったらとりあえず行くことをお勧めする。今回のような地雷企業の炙り出しも出来るし、地雷企業でなくても、確実に採用選考に有利に進むことができる。まぁ、インターン3回行った本命に最終で落とされたんですけどね。
ということで、インターン編はこれにて終了。次回は面接編をお届けする予定だ。