健常者になれなかった者たち

4人のガイジたちが送るドタバタガイジストーリー

CHRISTMAS BREAK 後編

Previously on CHRISTMAS BREAK....

前回のクリスマスブレイクは....

 

とうとうクリスマスイブ当日を迎え、因縁の舞浜に降り立った🦀。幸せオーラ全開の中一人公害の如く負のオーラを撒き散らしつつ、精神を極限まですり減らし、何とかディズニーランドでの匂わせ写真とディズニーリゾートでの匂わせ投稿を済ますことができた。

 

そして、いよいよネタバラシが始まるーーーー

 

 

 

2020年12月25日 07:58 千葉県浦安市 東京ディズニーセレブレーションホテル ウィッシュ

 

これ以上幸せオーラを吸収しようもんなら、身体が溶けて無くなる可能性がある。

そう考えた私は、ロビーやエレベーターなどでディズニーをお楽しみ頂いている方々の邪魔にならぬ様、始発電車で経つべくアラームを設定していた。が......

 

さすがはディズニーリゾート。ベッドの寝心地がめちゃくちゃ良い。

あと関係ないがコンディショナーがめちゃくちゃ良くて風呂上がりの髪がフワッフワになった

 

そんなこんなで惰眠を貪っていたらまさかのディズニー開館時間に近い時間に起きるという重大アクシデントをやらかしてしまった。

 

のそのそと準備をして荷物をまとめ、8時過ぎにようやく出発。

 

案の定、ロビーにはディズニーランドの当日券をお買い求めしている方々が沢山いらっしゃった。

 

そこへ、スーツケースと三脚を持って突入する男。

ディズニーをエンジョイされてる女性の方々がチラチラ奇異の目線を送ってくるという、逆モテ状態が発生していた。

 

 

チェックアウトを秒で済ませ、一刻も早くホテルを立ち去る。

これから夕方の新幹線で関東を発つ予定だ。

 

しかし、ホテルを出たのは朝。夕方まで時間がある。

それに加え、地域共通クーポン5000円を消費しなければならないという最後の使命が残されていた。

 

と言っても、使い道は何も決まっていない。

 

当初、横浜に泊まる事を想定していた為、新幹線を横浜から取っていた。となると、自然横浜近辺で消費するのが良いだろう。

とりあえず横浜へと移動することにした。

 

そしてやってきた、横浜 元町中華街。

中華街は飯食うところだし幸せオーラを感じずに済むだろうと思っていたらこれが大間違い。

「クリスマス中華街デート」を執り行う方々が大勢お越しになっており、舞浜に引けを取らないほどの陽オーラに満ち溢れていた。

そこへスーツケースを持って突入する私。

人気店はそうした方々の行列が出来ており、「おいしそー!」「一口ちょうだい」と言った沢山の賞賛のお声が聞こえてきた。

 

結局土産を買うこともできず、路地裏の誰も居ない中華料理屋さんで1000円分を使って昼食をとった。

 

残り4000円

 

これを何に使うか。

 

 

結局出た結論は横浜のユニクロで服を買うだった。

 

地域共通クーポンは土産店や観光地の飲食店だけでなく、コンビニやチェーン店など普通のお店でも使える。

ただし、泊まったところの周辺限定(千葉に宿泊した場合、使えるのは東京神奈川千葉茨城)のお店となる。

当然、チェーン店である横浜のユニクロでも使えるわけだ。

そういうわけで、わざわざ横浜まで来たのにユニクロで4000円引きで服を購入した。

 

そうしているうちに迎えた、夕方。

 

2020年12月25日 14:48 神奈川県横浜市横浜駅

 

出発を1時間後に控えた私は、早めに駅までやってきた。

そして、Wi-Fiが拾えるスタバでいよいよネタバラシを行う。

 

まず、手始めにクリスマスソングの動画を投下。

10分ほど間隔を空け、デート報告が嘘である事を示す証拠写真を立て続けにアップする。

そして、溜まっていたラインも一気に返す。

f:id:we_are_not_normal:20201226084142j:image

f:id:we_are_not_normal:20201226084147j:image

 

そして、周りも徐々にディズニーデートが嘘だと気づき始める。

 

「完全に騙された」

「どこまでが本当?」

「一周回って天才」

「令和のアガサ・クリスティ

 

f:id:we_are_not_normal:20201226101410j:image

残念ながらこちらの爪が甘く、周りの人間全員を騙せたわけではなかったが、自分の交友関係にある者の9割はこの嘘を信じていた。まさに狙い通りだ。

こうして帰りの新幹線に乗り込んだ私は、どんどんつく"いいね"と、次々送られてくる感想をツマミに、氷結とビールを煽りつつ帰路に着いた。

 

 

◎反省点と所感

今回、「周りに彼女がいる事を匂わせ、クリスマスにディズニーでデートしたあとディズニーリゾートに泊まるように見せかける。」という当初の目標は達成した。

 

しかし、細かいところに目を向けると、やはり企画の粗が見える。

 

まず、ディズニーでのリサーチが足りなかったという点。

荷物検査が行われていることを知らなかったのは痛手となった。まあ、ディズニーに来たことさえ伝われば良いので門の写真を収めなくてはいけないということはないが、「ディズニーに入園した」という証拠が無い状態で匂わせを行っても、いまいち説得力が無い。

そもそも、本気でやるならば1人ででもディズニーに入園するべきだった。

周りの歓声の中、負のオーラ全開でランド内を彷徨くというのは公害を引き起こしそうで怖いが、先述のように園内に入っているという決定的証拠を得られるのは非常に大きい。1日分の入園料8000円に対する対価としては十分だと、終わってみて思っている。

 

 

 

 

今この企画が終わって感じるのは、「試合に勝って勝負に負けた」ということだ。

 

パートナーがいらっしゃる健常な方々は、そもそもクリスマスに対してそこまで恐怖心を抱いていないという前提で、「あっ、今年もクリスマスかー 今年は何しようかな〜」といった軽い気持ちで、直前に適当に予定をお立てになり、様々な形で特別な夜を2人でお過ごしになる。

つまり、特に何も考えずとも幸せな時を迎えられるということだ。

 

一方で私の場合、クリスマスなどの話など一言も出ていない半年近く前から、"奴"がやってくる足音に恐怖し、戦慄し、その執行を待っていた。

そうした中で何をすべきなのかをまず考え、どう言った段取りで"奴"の刑の執行を受けるか、綿密な計画が必要である。

そうして数ヶ月間練りに練りまくった計画は、見事成功したと言えると思う。自分の持ちうる力を存分に発揮し、見事成し遂げたという点では、就活の「学生時代に力を入れた事」のエピソードで書ける話だろう。もう就活終わったけど。

そういう意味では、なんとなく、とりあえず2人で過ごしていれば良いという考えで過ごす健常者の方々とは違い、試合には勝ったと思っている。

 

だが、負けは負けだ。勝負としては明らかに「勝ち」ではなく、「負け」もしくは「敗北」もしくは「LOSE」だ。それは疑いようの無い事実であり、認めなくてはならない真実だ。今回、クリスマスディズニーデートをしたという嘘を巧みにつくこと自体はできたが、別に誰かを出し抜いたわけでもない。嘘をついたところで、「あぁ...結局この人は今年も1人だったのね」という感想を抱かれるだけだ。「クリスマスデートを行った」事実は絵空事であり、勝負としては、リアルに2人で幸せにお過ごしになっている方々に分がある。

 

 

学生時代最後の、「試合に勝って勝負に負けた」クリスマス。

 

「クリスマスイブに1人でディズニーに出かけ、入園せずにディズニーリゾートにだけ1人で宿泊した経験がある」ということだけを誇りに、これから40年近い労働刑を過ごしていこうと思う。

 

以上。

 

ご静聴、ありがとうございました。

 

 

完 〜fin〜