サバゲーしてたら警察呼ばれた話
サバゲー、、、
全国の中高生男子が一度は経験する「サバゲー」。
その普及率はエグい一方、中高生男子は、相当な努力と苦労を重ね、エアガンを入手し、ひっそりと集まりサバゲーを始めている。
エアガンは基本18禁であり、中高生は買うことは出来ないのだ。
だが、エロ本やAV同様、禁止と言われるほど、手に入れたくなるのが血気盛んな男子の性である。実際、僕の高校でも、かなり多くの人間がエアガンを手にしていた。
あれは、高校1年の10月頃だったと思う。
突然、サバゲーの誘いが自分のところに来た。
どうも人手が足らず参加者を集めているらしく、カーストを問わず声がかかっていた。
だが、残念ながら僕はエアガンを持っておらず、同じように声がかかったもののエアガンを持っていなかったシコティッシュメガネ君と一緒に頭を抱えていた。
まぁ、エアガンを持ってないんだったら参加しなけりゃいい話になるわけだが、ここで参加せず家に引きこもってるのもつまらない、、、、
なんとか銃と同じように飛び、人に当てられるものはないのか、、、
すると、シコメガ君が突然こんな提案をした。
「エアガンの代わりにシャボン玉使えばいいんじゃね??あれちゃんと玉みたいなの飛ぶし人に当てられるじゃん!!!」
つまり、シャボン玉を飛ばして、その玉を相手に当てることでエアガンと同等の戦闘力を手に入れようと考えたのである。
それに、BB弾より何倍も弾がデカいのだから、当然当たる確率も上がる。
僕は、こんな素晴らしい提案はないと、即刻その提案を受け入れ、主催者の了承を得て2人で百均へと向かった。
こうして迎えたサバゲー当日、、、
ゴツゴツのエアガンを持った参加者が集まる中、僕はシコメガ君と2人で百均で買ったシャボン玉を抱えて会場の公園へ向かった。
会場には、30人近くにものぼる男たちが集まっていた。
そのカーストは様々で、陽キャの方々もいれば、ゴテゴテのエアガンを担いだミリオタ、そしてシャボン玉を持った陰キャなど、多種多様な動物園と化していた(陽キャの方は、自分の持ってきていた安いエアガンとミリオタのゴテゴテのエアガンを交換して使っていた)。
参加者が大体揃ったところで、サバゲーが始まった。
早速我がシャボン玉部隊の活躍の場か!と思ったのも束の間
ハッキリ言って、シャボン玉は全く使い物にならなかった(当たり前である)。
まず、弾速が遅い(遅いってレベルじゃないかもしれない)ので、遠距離の場合、普通に相手に避けられる。しかも、相手は普通のエアガンなので、返り討ちに遭う。
では近距離に行けばいいのでは、となるのだが、サバゲーに参加したこともない陰キャが近寄って来る音など、バレバレである。案の定、すぐに返り討ちに遭ってしまった。
開始10分、早くも僕らは疲弊しきっていた。
しかしその後は見かねた仲間が予備のエアガンを貸してくれ、2人で1つの弱いエアガンを使いつつ、なんとかその後もサバゲーを楽しんだ。
そうして、陽も少し傾き始めた頃
気づくと、遠くの木の陰からこちらをじっと見ているおっさんが居た。
学校に通報されたらひとたまりもないので、皆一同、通りがかりの人に因縁をつけられたら即撤退するという暗黙のルールがあった。
しかし、そのおっさんは、何を言うでもなく、ただじっとこちらを見るだけだった。
だが、数十分後、事件は起こった。
なんと、警官が2人、僕たちの元にやってきたのだ。
ヤ、ヤバい、、、
そこにいた全員が青ざめていた。
なんたって、「18禁の銃」を持った高校生が、「無許可」で、公園を使ってやっているのである。
もう、逮捕される要素しかない。
僕らは、急いで危ないライフルやスナイパーを隠し、18禁じゃなさそうなハンドガンを手にした。
そして、30人の中で1番コミュ力ある奴が前に出て、警官に対応した。
まさに、火事場の馬鹿力ならぬ火事場のチームワークである。
「こんにちは〜君ら何やってんの??いや、なんかやってるって通報があってね〜」
どうやら、あのクソジジイが通報したらしい。その当人は、いつの間にか消えていた。
「こんにちは!あ、いやこのハンドガンで鬼ごっこして遊んでただけっすよ!」
と、差し出す代表。
「あーなるほどね。立派なの持ってるね〜ww」
と微笑む警官。あれ?これ大丈夫なんじゃね?
「ここ一応公園だから、他の人に迷惑にならんように遊んでね〜」
大丈夫だ!胸を撫で下ろす一行。
「じゃ、最後に一人一人一応学校と名前教えてくれる?」
やばい、、、
これは完全に
高校に電話→生徒指導→停学or退学
の流れである。
皆が再び青ざめる中、警官と話していたコミュ力の塊が引きつった笑顔でこう言った
「OO中学校のタドコロです!」
そう、なんと中学生に成り済まし、デタラメな名前を言ったのだ。
その後も、「OX中学校のタニオカです!」「XX中学校のタダノです!」など、皆デタラメな中学校と名前を言っていった。
こうして中学校の存在しない人物の名前を言っていった僕達は、「じゃ、気をつけて遊んでね!」と言って笑顔で帰っていった警官を見送った。
警官が帰った後、僕達の間には安堵の空気が広がっていった。
火事場のチームワークを発揮した皆は、妙な連帯感が生まれていた。
「また通報されても困るし、今日はここまでにしよう!」という主催者の提案により、サバゲーはお開きとなった。
あれ以来、僕はサバゲーに行ってない。
が、この先サバゲーをやる機会があっても、あんなに濃いサバゲーができることは無いだろう。
でも、あんなただサバゲーをやっただけなのに、こんなに濃いエピソードが語れるとは、つくづく濃い高校生活を送ったんだなぁとしみじみ感じた。
(🦀)